初めての投げ釣り

 
 中学生のころ、二年間ほど仙台に住んでいました。家から一番近い海まではバスを使って約40分。ちょうど父親も釣りに興味を持ち、先ずはカタログを取り寄せて竿とリールの選定が始まりました。

 それまでは川でせいぜいがフナ釣りしかしたことがなかったので、きれいなカタログで見た3m前後のグラスロッド製の投げ竿と、中型のスピニングリールは、すごく貴重なものに思えました。

 やがて父親仕様と私専用の竿とリールが届き、早速餌と大きめのクーラーボックスをかついで出発です。

 海岸には人影は全くなく、どこに投げても、どんな風におもりが飛んでいっても問題ありませんでした。仕掛けはたぶん道糸が4号程度、ハリスが2号程度、おもりが20号ぐらいの、ごっついものだっと思います。

 父親も投げるのはほとんど初めてのようでしたが、どこからか投げ方の知識を仕入れていたのだと思います。また若いときに剣道をやっていたとのことで、上段からの投げは、一応形になっていました。

 そして私ですが、リールをセットして、上段に構え、投げながら人差し指の糸を離す、という作業を頭の中で繰り返しシミューレーションをして第一投。

 竿を前に回転させながら投げる、糸を離す。しかし最初は若干の恐怖感を感じ、早めに糸を離してしまい、おもりは空高く飛び上がり、波打ち際にぼちゃん。

 しかし一度投げる決心が付けば、あとはそこは中学生。どんどん投げてコツをつかんでいきます。最初は上の方に飛んでいたおもりが、徐々に45度に近づき、最終的には40mぐらい飛ぶようになりました。

 おもりが飛ぶようになったら、次は餌付け。投げ釣りの餌は、だいたいゴカイ、イソメが主流ですが、ゴカイは切れやすいので投げ釣りには向きません。

 イソメはイワイソメ、スナイソメ(ジャリメ)、アオイソメ、袋イソメなどの種類があり、それぞれ一長一短があります。イワイソメは一番長くごっついもので、1本いくらで売られています。貴重な餌なので、投げ釣りにはあまり使いません。

 普通はジャリメかアオイソメです。ジャリメの場合は1匹または1匹を半分にして、アオイソメは10cm以上あるので、いくつかに分断して使います。

 初めはおっかなびっくりで触っていた虫君達にも徐々に慣れ、針に縫い刺しをして仕掛けを投入。40mぐらいですから、ほとんど波打ち際です。果たしてそんなんで釣れるのか。自分自身興味津々でした。
 
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